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図書館で語る三十の伝承者

小説ID: cmpl48kpn000d01p42wf71xrv

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番号八、ロスウェルは、前に並んだ七体と少しだけ似ている。だが、似ているのは見た目でも癖でもない。彼もまた、誰かの気配を先に感じ取る者だった。図書館の天窓に薄い雲がかかる頃、ロスウェルは書棚のあいだから静かに現れる。丈は中くらいで、淡い色の上衣をまとい、手にはいつも何も持っていない。なのに彼が立つと、その場の空気は一枚ぶん丁寧になる。 彼は自分から多くを語らない。けれど、紹介が進むこの場では、一つだけ共有できることがあると言って、わずかに首を傾ける。それは守ることでも、隠すことでもなく、待つことだ。オーベロンが遊び、コルロが閉じ、ラドガーが支え、アズエルが告げ、セラフィンが結び、ベリオスが動かし、ウィンチェスターが記憶を呼び起こす。そのどれとも違うようでいて、ロスウェルは皆に共通する静けさをひとつだけ知っている。 それは、何かを失わないための沈黙だった。 彼は頷くように目を伏せると、書架の端に指先を触れた。そこには古いしおりが挟まれていたらしい。薄い布の切れ端で、誰が置いたのかはわからない。ロスウェルはそれを抜き取らず、そのままにした。残しておくべきものがあることを、彼はよく知っているのだ。捨てるでもなく、奪うでもなく、ただ次に見つける者へ渡るように場所を空ける。そこにだけ、彼のやさしさがある。 七体を見てきた今ならわかる。彼らはそれぞれ別の扉を守っているようで、実は同じ廊下に立っているのだ。風も影も、台所の湯気も、時計の針も、すべてこの図書館でひとつの呼吸になっている。ロスウェルはその呼吸の、いちばん浅くて、いちばん静かな部分を受け持っていた。 彼が名乗り終えると、奇妙なことに、次の名を急かすような気配が消えた。ページはまだ残っているのに、読者の胸には、もうひとつの確かな印が落ちる。番号八、ロスウェル。共通点をひとつだけ抱えたその自己紹介は、列のあいだに見えない糸を通し、三十の物語を少しだけ近づけた。図書館はいつもと同じように静かだったが、その静けさは、誰かがそっと約束を結び直したあとの、それに似ていた。