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数えられなかった乗客にも週二便を

小説ID: cmvwj3jr3000201s6xz884zx5

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時刻表の端に、白い紙が重ねて貼られていた。蓮は最初、工事による迂回の案内だと思った。いつもの七時十二分を指で探して、その上にある「路線廃止のお知らせ」という文字で手を止めた。 次の学期の初日には、もう来ない。 紙の下では、去年から少し傾いた時刻表が、変わらず朝の便を約束していた。 やって来たバスには、蓮のほかに六人が乗った。杖を持った女性が運賃箱へ小銭を落とし、後ろの席の男性が、今日は病院が混むだろうと運転手に話しかけた。蓮は窓際に座り、携帯電話で別の路線を調べた。 隣町の停留所まで五キロ近くある。学校に間に合う便へ乗るなら、今の路線の始発より前に家を出なければならなかった。自転車なら、と考えたところで、途中にある長い坂と、冬の暗い道路が浮かんだ。画面の上では、道はただの細い線だった。 夕食の席で、蓮は廃止予告の写真を母に見せた。母は箸を置き、鞄から勤務表を取り出した。 「来月も、早番は六時半から。遅番の日なら送れるかもしれないけど」 蓮が学校の時間割を隣に置くと、母は勤務表の曜日を一つずつ指で追った。指が止まったのは二日だけだった。そのうち一日は、蓮の授業が午後から始まる日だった。 「帰りは?」 聞いてから、蓮は余計なことを言った気がした。母は答えず、勤務表の折り目を爪でなぞった。 「昔はね、夕方にも何本も走ってたんだよ」 祖母が味噌汁の椀を両手で包んだ。免許を返納したとき、車の鍵につけていた鈴だけを外し、台所の引き出しにしまったことを蓮は覚えていた。 「駅まで出れば、どうにかなったんだけどね」 その駅まで行くバスがなくなる。蓮は言わずに、ご飯の残りを口へ運んだ。昔の時刻表がどれほど便利でも、明日の席を一つ増やしてはくれなかった。 食後、廃止予告の写真を拡大すると、下のほうに市役所で開かれる説明会の日時が載っていた。平日の夕方だった。 「これ、行ってくる」 母は流しの前で振り返った。 「説明を聞くだけかもしれないよ」 「でも、学校に行けなくなるって、言わないと」 蓮はノートに日時を書いた。いつもなら宿題の範囲を書く場所だった。バスがなくなったあとの朝を、まだ誰も決めていない。その空白だけは、自分のものだった。

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