運営団体の代表者が手続き完了の通知を持ってきた日、集会所では、祖母が受付用の電話のそばに座っていた。交通事業者との書面には、運転手の手配、点検、欠勤時の対応が記されていた。予約の変更をいつまでに伝えるかも決まり、母は報酬の支払日を帳簿に書き込んだ。 「これで試走ができるね」 祖母が言った。蓮は案内の束を持った。廃止のお知らせとは違う紙が、ようやく停留所に貼られる。 試走の日、車は商店前で止まったが、予約した男性はいなかった。祖母が電話をすると、男性は旧停留所の標識の前で待っていた。 「商店前って、前のバスが来た所じゃないのかい」 二つの場所は近かったが、道の曲がり角で互いに見えなかった。運転手は安全に止められる場所を確かめ、男性には係の住民が付き添って移動した。蓮は案内に書いた短い地名を見た。自分には分かる名前でも、同じ場所を思い浮かべるとは限らなかった。 受付票には、目印と道路のどちら側かを書く欄を加えた。電話でも申し込めることを案内の上部に大きく載せ、祖母は予約を受けたあと、乗る場所を読み返した。受付を交代する人とも同じ手順を練習した。 「聞き直してもらうほうが、置いていくよりいいね」 祖母の言葉に、蓮は地図の印を大きく描き直した。 翌週、蓮と母は学校を訪ねた。担任は時間割を広げ、遠隔で参加できる授業と、教室で受ける必要のある授業を分けた。 「まず一か月、この組み合わせで試しましょう。出席の扱いは学校で確認します」 母が送れる日には登校する。それ以外は遠隔学習を基本にし、実習の日は別の登校手段を相談する。隣町の停留所まで自転車で行く案も出たが、雨の日や暗い時間まで当てにはできなかった。 「帰りの方法も、日ごとに決めたいです」 蓮が言うと、担任は放課後の欄にも線を引いた。 家で作った新しい時間割には、授業名の隣に、家、学校、要相談という文字が並んだ。水曜九時の便が走っても、蓮の朝を運ぶ便にはならない。母の勤務が変われば、この表も書き直すことになる。 祖母が机の横に来た。 「バスができても、前どおりにはならないんだね」 蓮はうなずいた。七時十二分に家を出ていた頃には、登校するだけでこれほど相談する必要はなかった。消しゴムの粉を払い、まだ方法の決まらない金曜日に、小さく担任へ確認と書いた。
数えられなかった乗客にも週二便を
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