集会所の机に、母の費用表と蓮の集計表が並んだ。若手職員は、交通事業者から回答のあった水曜日の欄を開いた。 「週一日の一往復、合わせて二便です。行きと帰りの時刻を、今日の案に入れましょう」 祖母が病院の予約票を置いた。 「九時に出れば、乗り継いで午前の診察に間に合うね」 「帰りは二時なら、薬を受け取ってから乗れる」 向かいの女性が言った。蓮の学校では、その時刻にはまだ授業がある。九時の便でも始業には間に合わない。 「行きを七時にできませんか」 口にすると、何人かが蓮を見た。 「診察まで、ずいぶん待つことになるね」 女性は責める調子ではなかった。それがかえって、蓮には苦しかった。 自分が説明会で手を挙げた。用紙を直し、放課後に数えた。その結果できる車に、自分は通学のためには乗れない。机の下で指を握った。誰かが、蓮の時間に合わせようと言ってくれるのを待っている自分にも腹が立った。 集計表の上に置いた鞄を、蓮はどけた。 「記録が集まった範囲では、行きは午前、帰りは午後に多くなっています。病院からの乗り継ぎは、このあたりです」 二時前後の欄を指した。買い物の帰りには夕方の記録もある。二便ですべてを拾えないことも、隠さず話した。 「僕の登下校には合いません。でも、九時と二時の案に賛成します」 声が途中で細くなった。納得したから平気になったわけではなかった。 祖母は蓮の顔を見てから、ほかの住民と同じように手を挙げた。 若手職員が、新しい書類を配った。 「運営団体には代表者と会計担当を置き、規約を作ります。運転は事業者の有資格者に委ねる形で、責任の分担も書面にしましょう」 母は運賃の試算を隣に置いた。職員は補助の対象になる経費と上限を示し、不足分を埋める約束ではないと確認した。 「運賃案と運行区域をまとめて、関係機関との協議を進めます。必要な登録や許認可は運輸支局にも確認します。今日決めただけでは、走り出せません」 受付の交代要員を探す役を、祖母が引き受けた。 蓮はノートに、水曜九時、十四時と書いた。その下に学校の始業時刻を書くと、二つの数字の間に鉛筆を止めた。そこをつなぐ方法は、この集会では決まらなかった。
数えられなかった乗客にも週二便を
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