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数えられなかった乗客にも週二便を

小説ID: cmvwj3jr3000201s6xz884zx5

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市役所の会議室には、蓮の学校の教室より多くの椅子が並んでいた。祖母は前から三列目に座り、配られた資料を膝の上で広げた。仕事中の母からは、聞いたことをあとで教えて、と短い連絡が届いていた。 壁に映された折れ線は、右へ進むほど下がっていた。担当者は利用者の減少と、一便ごとの収入を説明した。市が補助を続けるための採算基準には届かず、今後も回復は見込めないという。 蓮は資料の平均乗車人数を見た。今朝、同じ停留所から乗っただけで七人いた。途中から乗ってきた人もいる。それなのに、紙の数字では座席のほとんどが空いていた。 「現金で乗る人も、この人数に入っていますか」 手を挙げると、マイクが回ってきた。自分の声が天井から聞こえ、蓮は少し肩をすくめた。 「いつも小銭で払う人がいます。携帯電話を持っていない人も」 担当者の隣にいた若手職員が、資料をめくった。 「利用情報の取得方法を確認します」 すぐには答えが出なかった。別の質問が続くあいだ、職員は端末の画面と手元の書類を交互に見ていた。 説明会が終わると、蓮と祖母は出口で呼び止められた。 「予測の主な根拠は、端末を通じて取得した利用情報でした。端末を使わず現金で乗る方の移動は、今回の需要予測には取り込まれていません」 「じゃあ、私が病院へ行ったのも、なかったことになってるの」 祖母の声に、職員はうなずいた。 「予測の中では、そうなっています。欠落は確認して、修正を検討します」 蓮は資料を持ち直した。 「直したら、廃止はやめられますか」 「それは約束できません。採算の基準は残りますし、実際にどれだけ利用があるか、確かめる必要があります」 帰りの停留所で、祖母は病院の予約票を鞄から出した。 「これなら、乗る日が分かるね」 蓮はうなずき、ノートを開いた。日付、乗った停留所、降りた停留所。通院だけでなく、買い物や図書館へ行く人もいるはずだった。 「ほかの人にも、書いてもらえるかな。何に使うか説明して、いいって言ってくれた人だけ」 「私から聞いてみようか」 道路の向こうにバスの灯りが見えた。蓮はノートに線を引いた。廃止に困ると言うだけでは、この空欄は埋まらない。まず、目の前の乗客がどこへ行くのかを、残す必要があった。

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