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数えられなかった乗客にも週二便を

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母が食卓に広げた見積書には、折り目が何本もついていた。職場の休憩時間に電話をかけ、帰り道に受け取ってきたという。蓮は夕飯の皿を流しへ運び、空いた場所に週二便の運行案を置いた。 「まだ概算だけど、何にお金がかかるかは見えてきた」 母の費用表には、運転の報酬、車両の点検、保険料が並んでいた。その下にも、予約受付、変更の連絡、会計と続いている。蓮が考えていた燃料代は、表の一行にすぎなかった。 「受付は私がするよ。お金はいらない」 祖母は自分の名前を書く場所を探すように、表へ顔を近づけた。 「家にいるんだから、電話くらい取れる」 母は受付の欄から鉛筆を離さなかった。 「病院へ行く日は? 熱が出たら?」 「そのときは誰かに頼めばいいでしょう」 「同じ条件で代わってくれる人は、まだいないよ。無料で引き受ける人が見つかるまで、予約を止めるわけにはいかない」 祖母は椅子の背に体を戻した。 「私がやるって言ってるのに」 「お母さんができないって言ってるんじゃない。休めるようにしておきたいの」 母の声が少し強くなり、蓮は手元の運行案をそろえた。紙の端が食卓に触れる音だけが残った。 しばらくして、祖母が膝の上で手を握った。 「免許を返したら、送ってあげることもできなくなった。今度は私が乗せてもらうばかりになる」 台所の引き出しには、車の鍵から外した鈴がまだ入っている。 「何かできるって言わないと、そのうち誰にも頼まれなくなる気がしたんだよ」 蓮は祖母を見た。受付を引き受ける声の明るさの下に、そんな心配があるとは思わなかった。 母は鉛筆を置いた。 「頼みたいよ。でも、頼むために、お母さんがずっと元気でいることを条件にしたくない」 祖母は返事をせず、費用表を自分の前へ引き寄せた。予約の変更を伝え、受け取った運賃を確かめ、帳簿をつける。その一つ一つを指で追った。 「こんなにあるんだね」 受付と会計にも報酬を付ける。休む人の代わりを頼む費用も残す。二人はそこまでは合意した。 「助け合いがなくなるみたいで、まだ嫌だけど」 祖母が言うと、母は小さくうなずいた。 蓮は表の空欄に金額を書き込んだ。合計は増えた。それでも受付の欄から、祖母の名前を消す必要はなかった。

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