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借りた身体、嘘の代償は退学

小説ID: cmvxyjahi000201s6ofnos3v6

借りた身体、嘘の代償は退学
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朝礼で寮監に名を呼ばれると、ナギの制服は深々と頭を下げた。背中から拍手が生えそうな、完璧なお辞儀だった。 「今日は礼儀まで競技仕様だね」 笑いが起き、ナギも笑った。起き上がる時機は海藻に決められた。 授業では教師に当てられるたび胸が張り、答えだけが出なかった。立派な姿勢で分からないと言うと、分からなさまで堂々として見えるらしい。教師は感心せず、次の問題をくれた。 昼の交流会では、カイの姿をしたナギの周りに輪ができた。 「次の試験も記録更新だろ?」 「表彰式の写真、一緒に撮ろうよ」 挨拶のたびに制服がお辞儀をするので、ナギは首ではなく人生が忙しくなった気がした。 輪の向こうで、自分の顔が下級生の話を聞いていた。カイだった。 人が引いたあと、カイは小声で尋ねた。 「同室の子とけんかしたとか、家に帰りたいとか、三人続けて相談された。いつもこうなの?」 「たまに。答えが出なくても、聞くくらいはできるから」 「僕には、勝てそうかって質問しか来ない」 カイは手元の空の皿を見た。 「菓子を分けてくれるの、僕だけじゃなかったんだな」 「大きいほうを取るのは、だいたいカイだけだよ」 少し笑ったカイに、下級生が遠くから頭を下げた。制服は動かない。カイは自分で、ぎこちなく会釈を返した。 放課後の監督付き練習では、見栄えの効力は水際で終わった。 腕は美しく上がったが、いつ息を吸い、どこへ進むかは分からない。 「今日は浅い所で呼吸の確認だけにしよう」 監督に止められ、ナギはうなずいた。制服だけが、まだ優勝する気でいた。 寮へ戻ると、奨学金の確認通知が届いていた。記載された優勝の日付には見覚えがある。校内掲示の記録では、その日のカイは予選棄権だった。 添付の校則も、初めて最後まで読んだ。 身体の交換は事前許可が必要。制服に残る動作記憶は本人確認の根拠にならず、試験を別人に代行させてはならない。 「これ、確認したほうがいいよね」 ナギが通知を差し出すと、カイは受け取らずに言った。 「僕が調べる。今日は疲れただろ」 親切な声だった。それでもナギは紙を畳まず、机の上に置いた。朝から何度も勝手に伸びた背筋が、その時だけ、制服なしでも少し固くなった。

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