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借りた身体、嘘の代償は退学

小説ID: cmvxyjahi000201s6ofnos3v6

借りた身体、嘘の代償は退学
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面談のあと、ナギはカイと別の待機室を使いたいと申し出た。 隣に座れば、また相手の困った顔を先に心配してしまいそうだった。今は、自分の怒りにも椅子を一脚用意したかった。 海上の家族へ通話をつなぐと、母は最初の声で黙った。 「声はカイだけど、僕だよ」 事情を話すうち、何度も言葉が詰まった。 「帰ることになるかもしれない。まだ決まってないけど」 「決まる前に相談していいの。家は予約制じゃないから」 ナギは少し笑った。退学を含む処分の可能性も伝えると、母は急いで大丈夫とは言わなかった。 「話すべきことを話して、それから一緒に考えよう」 通話が切れても、その順番は手元に残った。 廊下で、練習のときタオルを貸してくれた競技仲間に会った。教員から交換について説明を受けたという。 「カイ、前から記録の訂正を怖がってた。奨学金がなくなったら通えないって。来週相談する、試験が済んだら相談するって、ずっと」 来週という箱には、ずいぶん多くの荷物が押し込まれていたらしい。 「止められなくて、ごめん」 「君が謝ることじゃないよ」 答えてから、ナギは窓の外を見た。 学費が怖かったことには同情できる。だから自分を身代わりにしたことには、怒っていい。二つは同じ皿に載せなくてもよかった。 午後、ナギは奨学金の選考にも競技指導にも関わらない学生相談担当を訪ね、申告への付き添いを頼んだ。 「僕に不利なことも、抜けていたら確認してください」 担当者はうなずき、机に紙を並べた。 確認通知。閲覧を許された管理記録の写し。試験当日の経過。 ナギは、いつ何を知ったかを順に書いた。事故だと聞いたことも、校則を読んだあとで交換はないと答えたことも、別々の行にした。 自分の行だけ小さい字にしたくなったが、同じ大きさで書き直した。 付き添いの担当者と申告窓口へ行くと、最後に希望を尋ねられた。 「カイを罰して、すっきりしたいわけじゃありません」 すっきりする未来は、まだ想像できなかった。 「でも、これ以上、誰かに嘘を背負わせたくないです。僕が背負わせる側になるのも、やめたい」 復帰手続きの説明を受ける間、制服の襟がぴしりと立った。ナギはそっと押さえた。 立派に見えることは、今日はもう仕事に含めなくてよかった。

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