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家業も介護も堰堤の補修も

小説ID: cmvzdza6q000201s6dkswlmpt

家業も介護も堰堤の補修も
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私が見つかったのは、山間の石材店の裏庭だった。雨上がりの朝、端材を片づけに出た養父が、切り粉の積もる隅に座る私を見つけたという。肌は人と変わらないのに、抱き上げた重さと、肘の傷にのぞく白い石目が、普通の子ではないことを告げていた。 養母は私を乾いた布で包み、養父は村役場へ届けた。身元を尋ねる札が峠の宿まで回され、役人が何度か家を訪ねた。それでも迎えに来る者はなく、二人は書類をそろえ、私を家族として迎えた。 「これは、おまえのそばにあったものだから」 養母は灰色の丸石を洗い、寝床の横に置いた。片手に収まる石には、細い白筋が一本あった。 私はその家で言葉を覚え、石の声を聞くようになった。 店先の端材に触れると、耳ではない場所に声が響いた。 「台座込みで銀貨八枚だ」 「角をもう少し落としてくれ」 初めは、誰かが作業場に隠れていると思った。けれど養父に尋ねると、どちらも先月の客が言ったことだという。養母にも同じ石を握ってもらったが、彼女には何も聞こえなかった。 声はいつも短く、順番もばらばらだった。触れる向きを変えても、続きが聞けるとは限らない。石のそばで口にされたことだけが残り、客が心の中で値切りたかった額も、明日誰が来るかも分からなかった。 冬の晩、養父は帳簿を開いて私を隣に座らせた。品名、数、代金、受け取った日。指先で欄を追うと、銀貨八枚の台座は、運び賃を含めて十枚になっていた。 「聞こえたことと、確かめられることは別だ。声は嘘をつくこともあるし、聞こえないところで話が変わることもある」 私はうなずいた。数字なら、もう一度たどれるのがよかった。 けれど、自分のことになると、その教えを守れなかった。 夜、丸石を両手で包むと、女の声がした。 「この子の分は別に」 それだけだった。どの端材を探しても、私がどこから来たのかを語る声はなかった。別に、という言葉だけが残り、私はそれを、母が私を自分の暮らしから取り分けて置いていった証拠だと思った。 母さん、と呼べば、台所から養母が返事をした。父さんは私のために椅子の脚を短くしてくれた。私は丸石を枕元へ戻し、翌朝から、その椅子で帳簿の数字を習った。

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