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家業も介護も堰堤の補修も

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家業も介護も堰堤の補修も
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店の帳簿を私の名で締めるようになって、十七年が過ぎた。人間の妻と二人の子どもは、作業場の音だけで、私が石を切っているのか、刃を替えているのかを聞き分けた。 石に触れれば、今も声は聞こえた。 「これなら銀貨十二枚でいい」 古い敷石の注文を受け、その声を紙の端に書いた。けれど刃の代金も運び賃も当時とは違う。今の加工賃を足すと、十二枚では持ち出しになる。私は紙を裏返し、寸法と作業日数から見積書を作り直した。石は昔の値段を覚えていても、今日の請求を払ってはくれなかった。 養父は足が弱り、作業場へ来なくなった。養母には薬を飲む時間を知らせる人が必要になった。隣町から通う妹が、その両方を引き受けていた。妻も食事を運んでいたが、子どもの世話と勤めがあった。 道路拡張の説明会は、冬の公会堂で開かれた。壁に貼られた図面では、赤い線が店と住宅をまとめて横切っていた。 私は補償の内訳を何度も読んだ。建物、移転、一定期間の休業。それぞれに額はあったが、新しい場所では今の切断機を据え直せず、基礎から作る必要があった。設備の更新分も、仮住まいの家賃も、営業が再開できなかった場合の負担も、すべてが収まるわけではなかった。 担当者は算定の根拠を示した。私が家を守りたいと言っても、明細の数字は変わらなかった。 帰宅すると、妹が養母の寝具を干していた。勤め先から借りた休みは、もう残り少ないという。 「移転しても、私が通うことになってるの」 私は返事の代わりに、新しい店の候補地を見せた。妹は地図を押し戻した。 「この家を守るために、私の生活はいつまで後回しなの」 責められたと思い、私だって店を休めないと言いかけた。だが妹の袖には、養母を支えたときについた水染みがあった。私が見積書を書いていた午後を、妹はここで使っていた。 翌朝、設備業者の見積もりが届いた。前金の期日は、補償金を受け取る予定日より早かった。紙の上で不足額はすぐに出せた。けれど妹が失った休みも、妻が仕事の後で洗った寝具の枚数も、私は一度も数えていなかった。 帳簿の脇に白紙を置いた。金額の欄を引きかけた手を止め、まず、誰が何をしているのかを書こうとした。妹の名前の下には、私が知らない時間がまだ空白で残っていた。

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