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招かれた先は、古い寄合所のようでいて、どこか祭りの夜にも似ていた。戸を開けた瞬間、鼻先をくすぐるのは湿った木の匂いと、遠くで燻る線香の気配。畳の上には、すでにいくつもの影が腰を下ろしている。人の形をしているものもあれば、輪郭だけが妙にくっきりしたものもいた。私は場違いな客として、ひとまず隅に座ることにした。 すると、座敷の中央でひときわ声の通る者が手を打った。 「では、順に参ろう。最初はわたしだ。第一番、灯守りのアカネ。夜を明るくしすぎないのが役目さ」 声と同時に、彼女の袖口から小さな火がふわりと浮いた。赤い火ではあるが熱さはなく、提灯の芯にそっと灯る程度のやわらかさだ。顔立ちは若く、笑うと目尻が細くなる。妖怪というより、近所の気のいい姉のようでもあった。 「怖がらなくていいよ。火は噛まないし、あたしも急には噛まない。たぶんね」 場がどっと和む。隣にいた細身の影が、ふんと鼻を鳴らした。 「第一番から調子が軽いな。だが悪くない」 アカネは肩をすくめ、私の方へちらりと目を向けた。その視線には、ここではあまり緊張しなくていいという合図が含まれているようだった。私は、ようやく息をひとつ吐く。 座敷の奥で、誰かが盃を置く音がした。続く自己紹介の合図らしい。番号と名が並び、そのたびに空気が少しずつ色を変えていくのだろう。今はまだ、始まりの火がひとつ灯ったばかり。だがその小さな明かりだけで、この夜がただ静かな集まりでは終わらないことは、もう十分に伝わってきた。
