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白鹿に預けた出会いと二度目の自己紹介

小説ID: cmvv3nu1t000201s6a1zaojt0

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四つ目の境界に、火の消えかけた囲炉裏が見えた。 口を利かなかった夜の終わりだった。朔は危ない冬道へ出る伴侶を責め、伴侶は、待つだけの暮らしでは息が詰まると言った。長い沈黙のあと、互いに謝った。 「一緒に年を取りたい」 朔がそう告げると、伴侶は膝を寄せた。 「困っている人のところへ行ける自分でもいたい」 二つの願いを、どちらも捨てずに暮らそうと決めた。その夜を帳面に記し、朔は氷へ掌を当てた。寄り添った膝の温かさが消え、願いは紙の上の言葉になった。 四日前の川には、まだ橋が架かっていた。朔は橋脚へ絡む流木を避けて渡り、下流の物資小屋へ向かった。帳面の段取りは残っているが、運び手への頼みも、二つの集落の約束も、まだ誰の胸にもない。 小屋の前で、伴侶が粉袋を下ろしていた。 息をしている。そのことだけで、朔の足が止まった。 相手は顔を上げ、笑った。 「冬の星は、どこへ帰る?」 答えがあるはずだった。朔は口を開いたが、続く言葉を探せなかった。伴侶の笑みが薄れた。 「喧嘩のあとに決めた言葉だよ。忘れた?」 朔は帳面を差し出した。雪崩のこと、白鹿の道のこと、戻るたびに失った記憶のことを話した。伴侶は途中で遮らず、最後に、仲直りした夜を書いた頁を長く見つめた。 「読んでも、戻らないんだね」 朔は頷いた。答えを教えてもらえば、失ったものまで取り戻したふりをしてしまいそうだった。 伴侶は帳面を閉じた。 「今、何をすればいい?」 朔は六人の名を指した。一人で歩けない者に、どんな助けが必要か確かめたい。 二人は集落を分けて訪ねた。朔は戸口の段差と寝床からの距離を測り、伴侶は本人に、座れるか、揺れに耐えられるかを尋ねた。水車小屋の老人には背を支える板が要り、足を傷めた女には横になれる担架が必要だった。 夕方、突き合わせた紙に、迎えの者が入る戸口まで印がついた。伴侶が老人の薬包を持ち上げた。 「これは食糧と別に、本人のそばへ」 朔は頷き、その役目を任せた。 合言葉には応えられなかった。それでも、差し出された薬包を受け取る手は、もうためらわなかった。

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